このページでは、入居者に夜逃げされた場合、賃貸物件に残された荷物をオーナーは簡単に処分できないなどの問題点を検証していきましょう。
2カ月も続けてアパートの家賃の滞納をしている入居者がいる物件の事例です。オーナーが家賃徴収で部屋を訪問したところ夜逃げされていたことが発覚。行方の追及や督促など、物件オーナーがとった行動についてそのコメントからピックアップしてみましょう。
「ウチのアパートは築18年で、それまで特段のトラブルもなく入居者にも恵まれてきたと思っていました。家賃滞納があった部屋は入居してから7年経つご夫婦で顔見知り。まさか夜逃げされるとは夢にも思っていませんでした。
「遅れていた家賃は来週まとめて払います」。奥様にいわれたので後日部屋を訪ねた時、どうも室内の様子に違和感を感じて、合鍵で開けてみたわけです。すると部屋は不用品などを残してもぬけの空状態に…。不動産会社には急いで保証人に連絡を入れてもらったところ、夫婦当人たちには連絡がつかないとのこと。部屋の修繕費やごみの処分費用などを保証人に請求しようとも考えましたが、他にもいろいろ訳ありのようで、自分たちの分の請求は結局断念してしまいました」
物件オーナーは滞納家賃の督促もせず、結果として泣き寝入りを強いられることになりました。これに関して、賃貸経営の専門家による見解も紹介しておきましょう。
「入居者管理を専門の会社に依頼しておけば、家賃滞納時の督促なども気兼ねなく事務的に進めてくれるので安心。入居者が顔見知りだと、オーナーとしてもこまめに催促するのは気が引けると思いますが、今回のようなトラブルはどの物件でも起きうるリスクです。滞納保証などトラブル時に役立つサービスも含めて、管理体制を見直すのがいいでしょう」
なお、家賃を滞納して逃げた場合でも入居者が残していった物品を物件オーナーが勝手に処分することはできません。司法手続きを経た上でないと、鍵の交換を含めてオーナーの自由にならない部分があるわけです。賃借人に無断で貸部屋に入ったり持ち物を処分したりすると刑法に抵触する可能性もあるので、物件所有者とはいえ慎重に対処する必要があります。
賃貸オーナーにとって、身近なトラブルのひとつが夜逃げです。めったに出会うことはないと思われがちですが、意外なほど多くの賃貸オーナーが悩まされています。ある日、突然、遭遇するかもしれないので、心配な方は普段から対策を立てておいたほうが良いでしょう。最初に検討したい対策が管理会社の利用です。「費用が掛かるので自己管理したい」とお考えの方は、管理会社を利用する場合と自己管理する場合の違いを理解しておきましょう。そのうえで判断を下すことが重要です。両者にはどのような違いがあるのでしょうか。以下で詳しく解説いたします。
夜逃げが起きてしまうと、その後の対応に追われることになります。トラブルを避けたい方は、夜逃げを予防することが重要です。夜逃げを予防する唯一の方法といえるのが、入居者の状況を把握すること。その方法として挙げられるのが、物件に頻繁に通うこと。入居者と仲良くなれば様々な情報を得ることができます。有効な方法ですが、実際に行うとなると大変です。手間をかけずに状況を把握したい方は管理会社に任せるとよいかもしれません。
管理会社は物件の管理を専門的に行う会社です。入金の管理から共用部分の掃除まで日常業務を行ってくれます。様々な角度から物件を管理しているので、管理会社には入居者の状況を把握する情報がたくさんあります。例えば、家賃の滞納状況や入居者の相談内容などから夜逃げのリスクを把握することができます。一か所に情報が集まるので、上手に活用すれば夜逃げのリスクを把握して予防対策を行いやすくなります。
自己管理している物件では自分で情報収集が必要です。その気になれば管理会社以上の情報を集められますが、それにはかなりの労力を要します。忙しい毎日の中で、いつ起こるかわからないリスクに備えて準備をし続けなくてはならないので大変です。専門的な知識や経験も必要になるので、実際に行える方は限られているでしょう。
夜逃げに関連するトラブルのひとつが家賃の滞納です。家賃を払えず夜逃げをする、夜逃げをしてから発見されるまで家賃を滞納するケースが多いからです。この問題に関しても、賃貸管理会社を利用していればスムーズに対処できます。
管理会社が行う業務のひとつが入金管理・家賃の督促です。基本的に、家賃が滞納した時点で入居者へ連絡をして家賃の督促を行ってくれます。それでも支払いがない場合は、内容証明郵便を送付するなどの対応も行ってくれます。家賃を滞納しづらい環境を作れるので、夜逃げが起こった際の被害を軽減できます。また、夜逃げが起こったときに早期発見できます。
ちなみに、管理会社を利用していれば滞納保証を利用できます。滞納保証とは、入居者が家賃を滞納した場合に管理会社が代わりに支払うシステムです。あるいは、管理会社に賃貸物件を一括借り上げしてもらうことも可能です。この場合、家賃は管理会社から支払われるので、滞納の心配はありません。これらのサービスを利用できる点も管理会社に任せるメリットです。
自己管理をしている物件では、賃貸オーナーが入金管理・家賃の督促を行います。忙しいなどの理由で入金管理をいい加減にしていると夜逃げの兆候を見逃すことがあります。適切に入金管理を行っていれば家賃の滞納は見つけられますが、督促をスムーズに行えると限りません。何となく気後れする、情が絡むなどの理由で、少し様子を見ようとなることがあるからです。そこから家賃滞納・夜逃げにつながることもあります。
ちなみに、物件を自己管理している場合、滞納保証や一括借り上げは利用できません。管理が行き届いていないケースでは、夜逃げの被害が拡大する恐れがあります。
賃貸物件から入居者が消えた場合、所在を確認するため入居者、連帯保証人、家族などに連絡を取る必要があります。これらの連絡は誰が行えばよいのでしょうか。
物件の管理を管理会社に任せている場合、入居者や連帯保証人、家族への連絡は管理会社が行います。煩わしい手間をかけずに、必要な連絡を行える点は大きなメリットといえそうです。
物件を自己管理している場合、入居者、連帯保証人、家族には物件オーナーが連絡します。夜逃げと思われるトラブルが発生した場合、多くの物件オーナーは精神的なショックを受けます。頭が真っ白になる方もいます。このような状況で、入居者などに連絡をして所在を確認することは大きな負担になる恐れがあります。
入居者と連絡が取れず家賃の滞納が続く場合、夜逃げした入居者を相手に契約解除を求めるとともに建物明渡請求を提起します。入居者の所在が不明なので送達は公示送達(裁判所の掲示板に、一定期間、掲示する方法)となります。大げさに思うかもしれませんが、物件への立ち入りと残置物を処分するため必要な手続きです。この手続きを踏まず物件へ立ち入ると住居侵入罪、残置物を処分すると器物損害罪に問われる恐れがあります。管理会社に任せている場合と自己管理している場合では、何か違いがあるのでしょうか。
様々な物件を管理しているので、管理会社は豊富な経験と知識を蓄積しています。夜逃げなどのトラブルに対しどのように対処すればよいか熟知していることが少なくありません。管理会社に管理を任せている場合、適切なアドバイスを受けながら物件への立ち入り、残置物の処分を進めていけます。
物件を自己管理している場合、自分で調べながらの対処となります。必要な知識を備えていないと、勝手に物件へ立ち入り残置物を処分して大きなトラブルに発展する恐れがあります。夜逃げされた物件を再び貸し出すためには、様々な手続きを踏まなくてはなりません。専門的な知識を備えていない方が一人で行うことは難しいでしょう。
物件の残置物は、訴訟を経て建物明け渡しの強制執行を行う中で処分します。残置物の処分はどのように進めていくのでしょうか。
管理会社に任せている場合、残置物の処分を管理会社が行ってくれることがあります。すべてを行ってくれなくても、出来る範囲のサポートは行ってくれることが多いようです。例えば、ゴミを管理会社が処分する、粗大ごみの運搬を手伝う、専門の業者を手配してくれるなどです。出来るだけ早く原状回復できるように様々なサポートを行ってくれます。
自己管理の物件ではこのようなサポートを受けられません。自分で残置物を処分する、あるいは業者を手配する必要があります。多くの物件オーナーにとって慣れない作業となります。また、残置物を処分している間も日常の業務は続きます。かなりの負担を強いられるといえるでしょう。
管理会社に管理を任せている物件と自己管理している物件では、夜逃げが起きときに以上の違いなどが生じます。間違えた対応をするとトラブルを拡大させてしまう恐れがあるので、自己管理をしている方は慎重に対応しましょう。不安を感じる方は管理会社の利用を検討してみてはいかがでしょうか。専門的な知識と豊富な経験を活用して、夜逃げに関連する問題の解決を助けてくれます。お勧めの管理会社を紹介しているので、参考にしてみてください。
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